外反母趾に苦しんでいる方は大勢いらっしゃるかと思います。大手靴製造会社の集計では、全日本人の約７０％～８０％がその素因をもっていると言われています。
ここでは、どうして外反母趾になってしまうのか、どうやったら良くなるのかについて、詳しく説明いたします。
外反母趾とは
外反母趾とは、写真①のように中足母趾関節（親指の付け根あたり）が外に反り出だし、親指が他の指に倒れるように曲がって見える状態です。
一般的に、この曲がり方により悪化レベルを分類します（図①参照）
写真①
図①
外反母趾は体にどんな影響があるのか
まず一番初めにみなさんが思い描くのが、その痛みだと思います。
外反母趾の痛みは、例えば「重度」の方が「軽度」の方より痛みが強いというわけではなく、「中度」や「軽度」に分類される方でも強い痛みを訴える方もいらっしゃいます。
その痛み方には二種類のパターンがあり、反りだした部分が靴に擦れることによって痛くなる場合と、素足の状態でも関節そのものが痛む場合とがあります。
いずれの痛みにしても日常の悩みの種ですが、足をかばったような歩き方をすることで他の部分に余計な負荷がかかり、他の部位にも症状が発生する恐れがあるため、外反母趾は出来るだけ早く治す必要があります。
痛みの有無だけに重点が置かれがちですが、外反母趾の方の足は、いろいろな 筋が緩み関節が安定しない状態になっています。
そのため、足がグラグラとふらつきやすかったり疲れやむくみを感じやすかったりすることが多く、膝や股関節の痛みまで出てしまうことがあります。
当然ながら、そんな足元のぐらつきはからだ全体に悪影響を及ぼし、安定した正しい姿勢で立っていることが困難になり、背中が曲がってしまうこともあります。
猫背などの状態は、足との直接的な関係が見えないため、外反母趾のせいでそうなっているとは気づきにくく、裏を解せば外反母趾を治すことで、それらの状態も同時に好転することは珍しくありません。
外反母趾の原因
日本国内では今でも、ハイヒールの履きすぎや足の指の筋力の衰えが外反母趾になる原因としての一般的な見解ではないでしょうか。しかしながら、それらは正しい考えではありません。
足の医術の先進国、米国の足病医の間では、外反母趾は過剰回内（オーバープロネーション）が基本となって生じているとされており、これはすでに一般的な考え方となっています。
過剰回内の状態に、さらに拇趾関節をひねるような動き（アブダクトリーツイスト）を加えることで、外反母趾となっていくのです。
つまり外反母趾は、余計な負荷のかかる正しくない歩き方（足の使い方）によって形成される、ということになります。
過剰回内（オーバープロネーション）とは
過剰回内とは何かというと、いつも踵骨が外側に傾き、足首が内側に入っている状態のことを言います。（図右）
踵骨と足首の状態のセルフチェックが難しければ、つま先と膝の位置を鏡などで確認してみてください。
多くの場合、つま先より膝が内側に入っています。
そもそも回内（プロネーション）という動きは、歩行に必要な動きの一部であるものの、それが行き過ぎになってしまっている方がいらっしゃいます。
この状態は外反母趾の主な原因になるだけでなく、その他いろいろな足の病気・症状につながる主原因ともいえます。
もともとこの要素を持って生まれた方もいらっしゃいますが、足の症状はそれだけが原因となって発生することはめったにありません。
持って生まれた要素に、後から身に付けた間違った歩行方法（足の使い方）が加わり、状態を悪い方に向かわせてしまうのが一般的です。
外反母趾の改善方法
ここまでで、あなたの外反母趾がなぜテーピングやサポーター、マッサージや足の指の運動・訓練等で良くならなかったのか、納得いただけたかと思います。
それらの治療は「形の変わった足の指の形状を元に戻す」という対処的な考えに基づくものであり、根本的な原因である行き過ぎた回内の問題はなにも解決していません。
よって、テーピングなどにより形状は整う場合があったとしても、それは一時的なもので、すぐに元に戻ってしまうはずです。
では外反母趾を基から治すには、もうご理解いただけたように、歩き方（下肢の使い方）を変える必要があります。
回内の行き過ぎた状態である足の動かし方を、足のつくりに合った、正しい動きに治すことが重要です。
ここでも注意したいことは、よく聞くような「足趾をしっかり使い歩く」「歩幅を広げて歩く」「路面をしっかり蹴って歩く」「膝を伸ばして歩く」などの歩き方は、本当は外反母趾をより悪化させる間違った歩き方なのです。
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